レメディーで何故治るのか?……治んないけどね

ハーネマンオルガノンでレメディーによる治癒過程を大体こんな風に書いている。

  1. バイタルフォースが撹乱した状態を病気と呼ぶ
  2. バイタルフォースが症状によって撹乱した状態を知らせる
  3. 症状の全体像にあった一つのレメディーを投与する
  4. 生命原理は、一つの状態でしか存在できない為に、二つの類似した病気は存在できない
  5. 病気よりも強めに作用するレメディーが感覚を占有するので、病気の感覚が消える
  6. 病気が消滅する
  7. レメディーが作用する持続期間は短いためにバイタルフォースがレメディーの変化を消すことができる
  8. 治癒

バイタルフォースっていうのは「人間の物質的な体を制御する精神のようなダイナミック・エネルギー」……。
これだけだとなんのこっちゃ?
えーと…ハーネマンは人の体をコントロールしているものがあると考えていて、それをこう呼んでいたって思ってもらえば良いと思う。
200年前なんで脳科学(誰かのせいでこの言葉が安っぽくなっちゃって困るね)なんてないからね、この辺は仕方がない。

何か無理無理な論考だよね、類感呪術の面目躍如というか。
(4)がこの機序のキモと言えると思う。
でもこれもハーネマンがそう考えてみたってだけで何らかの客観的な証拠があるわけじゃない。
そしたらオルガノンの§28にこんな記述があった。

§28
それ(自然治癒の法則)がどのように起こるのかということを科学的に説明することはそれほど重要ではないし、それをすることはあまり価値のあることではないと思う。

作用機序を考察することにハーネマンは熱心ではなかったみたい。
治りゃ良い、そう思ってたんだね。そしてレメディーで治っていると信じていた。
…まぁ、治ってはいなかったんだけど。



オルガノン:
『改訂版 医術のオルガノン 第六版 サミュエル・ハーネマン由井寅子・日本語版監修 澤元亙・訳 ホメオパシー出版』