うちの子


彼はいわゆるDIYショップにあるペットショップで店頭展示販売されていた子だ。
そこのDIYショップはよく行くお店で、子犬や子猫がたくさんいるのは前から知っていた。
どこから家族を迎えるか、色々な考え方があるし選択肢もある。正直迷ってもいた。

人生で初めてのワンコ、家族の誰もペットと暮らした経験はなかった。
調べてみると初心者でもトイプーなら上手に付き合って行けそうだったので、トイプーと暮らしてみようかとは思い始めていた。
男の子女の子は、どちらでも良かったが女の子の方が初心者にはいいかな?とは漠然と思っていた。

それまでふらりと見物していた時には店員さんに声をかけられることなど一度もなかったのに
何となくトイプーの女の子を見ていたら、すすっと脇に店員さんがよってきて「抱いてみますか?」と謂われてしまった。
思わず動揺の余り「い、いえいえいえいえっ」と不審者みたいに慌てて立ち去ってしまった。

次にお店に行った時にはほぼ決心していた。まだいたら「あの子にしよう」と。
しかし、いなかった。
その時いたのが、彼だ。前の子より随分小さいし男の子だった。
それでも彼を見ていたら、またもや店員さんがよってきた。
質問も前と同じ「抱いてみますか?」
私は、ちょっと深呼吸して「はい、お願いします。」と返事した。
その時にはもう決心していた。

抱いてみた。
小さくて暖かくてもじょもじょしてしていた。
私の指をしきりに舐め回し甘噛みしている。
ちょっと持ち上げて顔を覗き込んだ。
「うちの子になる?」尋ねてみた。
返事なんかあるわけ無いけど、特に異論はなさそうだった。
それで即決。
抱いた子をあのガラスケースの中に戻す気は無かった、それだけは決めていた。
まぁ、相手がものすごーく嫌がらなければだけど(笑)。

そうして彼はうちにやってきた。
ウチに来た時1Kg無かったから、店員さんが謂った2Kgにはなると思いますよ、なんてセールストークを真に受けていたが、その後すくすくと5Kgまで育った。
でもお腹が丈夫で病気知らずだから、それが一番だね。

改めてお礼を謂うよ、有り難う、うちの子になってくれて。