できるかな?「レメディー編」

オルガノン第六版によるとハーネマンの希釈は粉末でするのが基本。

(1)元物質 1グラン(=ドイツの昔の単位で60mgぐらい)+乳糖 100グラン
 →これをへらでぐりぐりかき混ぜ、さらに乳鉢でごーりごーりすりつぶす。
 →1/100完成!

(2)1グラン(1/100)+乳糖 100グラン
 →これをへらでぐりぐりかき混ぜ、さらに乳鉢でごーりごーりすりつぶす。
 →1/10,000完成!
 
(3)1グラン(1/10,000)+乳糖100グラン
 →これをへらでぐりぐりかき混ぜ、さらに乳鉢でごーりごーりすりつぶす。
 →100万倍希釈物質完成!

次に希釈した粉末を使って振盪開始!

(1)希釈粉末 1グランを蒸留酒:蒸留水=1:4の液に500粒を溶かす
 →1滴+100滴の蒸留酒
 →振盪100回レッツシェイク!
 →この溶液で数粒の乳糖を湿らせる。

(2)湿らせた1粒+100滴の蒸留酒
 →振盪100回レッツシェイク!
 →この溶液で数粒の乳糖を湿らせる。

この(2)手順を繰り返し、29回目の乳糖1粒+100滴の蒸留酒
 →振盪100回がレメディーの原液(やでやで)

そして、この溶液で湿らせた乳糖の粒がレメディー

ただねぇ、振盪の際に「湿らせた乳糖を吸い取り紙の上に素早くまいて乾燥させる」という手順がある
………それ、全部吸い取り紙が吸い取ってね?

……侮れないほどに、想像以上に希釈されているレメディー。

ところで、ハーネマンは、オルガノンの希釈振盪を記した部分にこんなこと書いている。

§270 (7)
こうして、ほとんど数で表示できないほどに微細な粒子を生みだす。

やっぱりねー、残ってると思ってたんだよ、ハーネマンは。
何にも入ってないなんて考えもしなかった、だから残っている(と思っていた)物質をレッツシェイクして活性化すれば、元物質の性質が利用できると信じてたのだね。

そしてかき混ぜたり、磨り潰すことの各手順に細かい指示が書いてあるんだ。
乳鉢の洗浄方法も指定されてる。当時としては精いっぱいの方法で不純物を混ぜない工夫をしている。

と謂うかレメディーの結果が出ない理由を作業手順や方法を模索するという、気の毒だけど全然あさっての方向に突っ走ってる。
挙句の果てに高ポーテンシーなんて超希釈に辿り着いてるし。

レメディーに効果がない、それを考慮することはハーネマンの頭には無かったんだよね。



オルガノン:
『改訂版 医術のオルガノン 第六版 サミュエル・ハーネマン由井寅子・日本語版監修 澤元亙・訳 ホメオパシー出版』